続・著作権延長ですって。(番外の1)

チマタで話題の「著作権保護期間延長問題を考える国民会議」の,発起人の方々のコメント(前編)について若干。

伝・福井氏談

50年がさらに70年に延びたら死んでしまったクリエイターの意欲が高まるのか

って,わざわざ「死んでしまった」と限定されているので,福井氏自身も存命中のクリエイターであれば意欲が高まる可能性はあると思ってらっしゃるのかな?

アガサ・クリスティだかが,死ぬ前に娘と夫に未発表原稿を渡したらしいけど,そういう意味では存命中のクリエイターの意欲が高まるという要素は“ゼロ”ではないかも? 仮に平成20年1月施行として,平成19年1月1日以降に死亡したクリエイターに関して延長という線だと,どのように考えられるだろう?

むしろクリエイターの立場に立つと、古い作品から新しい作品を作り上げていくという万化不変の想像のサイクルが絶たれるのではないかと心配する声もあります。(原文のママ

その可能性は,わたしも感じます。それから,「その2」に書いたように,偶然に似てしまった作品が訴えられるリスクが20年延びるというのも落ち着きません。

伝・別役氏談

結局は著作権が切れたことがきっかけで、銀河鉄道がさまざまな形で戯曲化、シナリオ化されて、元の作品も活性化されたのではないか──というふうに考えるわけです。

う〜ん。難しい問題だなぁ! 遺族の思い入れが強くて,“オリジナル”こそ尊くて「改編などはもってのほか」なんてことはありえる話で,そんな場合,“活性化”なんか大きなお世話だろうし ...。

正直なところ,“感情の問題”は“経済の問題”よりも解決は難しいもんなぁ! それに,「その3」で書いたような,できれば,なかったことにしたい作品もあるだろうし!!

伝・富田氏談

電子テキストになっている青空文庫の本は、目で見て読むだけではなく、視覚障害を持った方が耳で楽しめるように音に変換したり、あるいは点字のデータに変換したり、文字を大きく拡大したりといったさまざまな可能性が開けています。

それは,そうなんだろうけど,なんだかシックリ来ないのはナゼだろう? 著作者の死後40年程度経過したモノで,著作権者との連絡が容易にできる率,その中から更に許諾が得られる率だとか,チョットしたデータが示されると印象も違うんだろうけどなぁ!

自分自身,青空文庫によって,それまで存在すら知らなかった文学作品に出会うなどという経験をしているし,保護期間が延びれば,そういう出会いの機会が20年延びるかもしれないってことは解るんだけど,書かれたコメントだけからの印象だけど,なんだか権利が消滅する日を指折り数えて待っているような雰囲気が感じられて ...。

伝・竹熊氏談

著作権を守るとおっしゃっている団体の方々には「著作者の権利を代わって守っている」という共通した主張がありますが、でもそれが本当に著作権者の権利を守っているのかというのは、かねがね疑問に思ってました。

おっしゃりたいことは解るような気がします。

伝・田中氏談

この議論は2つの利益の比較ですから、実は計って比較できるんです。

ほ〜ぉっ! 経済学的に何年が適正な保護期間なのか,ぜひ知りたいと思います。もっとも,「30年」とかいう数値が出てきても,条約に加盟している以上,今より短くすることはできないんじゃないかと思いますが!

著作権切れタイトルのDVDが500円程度で出回っています。あれは明らかに消費者にとって目に見える利益でしょう。

まぁ,著作権保護期間内であっても需要と供給とのバランスに基づいた適正な価格が付されればイイわけですけど,昨日今日に発売されたアツアツのモノと,かなり昔に発売された相当に冷めたモノが,ほぼ同じ価格というのが問題の1点! 消費者が“冷めたモノ”を買おうとしたとき,ほとんどが市場にないことが問題のもう1点! かな?!

 しかも,「中古を売ることは,まかりならぬ!」などとおっしゃる団体もあったり!!