メリットある?
通信関連事業者が著作権法改正の要望書を出したらしい。
これとは別に,4月18日,ネットニュースの見出しで裁判を起こした新聞社から「日本経団連、通信・放送の融合へ著作権法改正を提言」という記事(最大限のイヤミのつもりでリンクしない。)も出ていた。
さて,まず,記事に細かなツッコミを入れさせてもらうと ...,
著作権法で「通信」と位置付けられている「IPマルチキャスト放送」を著作権処理がより簡単な「有線放送」とみなすよう求める要望書
とありますが,著作権法の2条1項9号の2に,有線放送は ...,
公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。
と定義されているので有線放送も著作権法上は通信なんじゃないかな? それから「著作権処理がより簡単な」とあるけど,これは音楽関係だけの話で,しかも,法律で簡単になってるんじゃなくて契約で簡単になってるだけだと思ったけど勘違いだったかな?
著作権法の44条には「放送事業者等による一時的固定」なる制限規定があるけど,IPマルチキャスト放送をしようと思ったら「一時固定」では話にならないだろうから,有線放送とみなしたところでコノ条項は関係なさそうだし!
ただ,まだ「パソコン通信」とか言ってたときには,記事で言うところの「通信」と「有線放送」の区別に大きな違和感はなかったんだろうけど,今となってはねぇ ...。それはさておき,有線にしても無線にしても,なんだか関係する法律が多すぎて全然わからん!
無線の放送局だと免許が必要はずだけど有線でも必要なのかな? もっとも,アマチュア無線なるものがあることを思えば,有線放送に免許が必要だとしても,免許を持っていることと著作権法の2条1項9号の3の「有線放送を業として行う者」とは同義ではないよな!
記事に ...,
多数の権利者から事前に許諾を得るなど権利処理が複雑で、ドラマやバラエティーといった人気番組はほとんど見られないのが実情だ。
とあるけど,これって既存の「(有線)放送」でも起きてるハズの現象で,記事で言うところの「通信」が,「放送」よりも,さらに許諾が得にくいという現実はあるかもしれんけど,それは必ずしも「通信」だからではなく,恒常的に複製されたものが,ほぼ自由に利用できるという環境に理解が得られてないとか,そういう部分の方が大きいんじゃないのかなぁ?
それから,記事に「権利者側にとっては「権利縮小」につながる」とあるけど,大きな法改正をせずに「通信」を有線放送とみなすだけであれば,ほとんど「権利縮小」にはならないように思うんだけど ...?
恐らく,有線放送とみなされ,発信者が有線放送事業者と認められれば著作隣接権が認められるんだろうけど,それ以外に,あまりメリットがあるようには思えないなぁ! 逆に「通信」のままの方がメリットがあるとする主張もあったり ...?
それからそれから,「通信」を有線放送としてしまうと,文字だけで構成されている情報も「放送」ということになってしまわないのかなぁ? もちろん,既存の「(有線)放送」だって文字だけの情報ということはありえるので問題ないのかもしれないし,「主として音響や映像を送信するもの」などと規定する道もあるんだろうけど,一応,影響とかを考えてみないと ...。
もうちょっと勉強しようっと!