難しい問題です。

県内図書館で名簿閲覧制限の動き/県条例では適用外

最近,この手のニュースが多い。記事の図書館が,どの範囲まで制限しているのかは知らないし,お金さえ出せば誰でも入手できるモノまで制限する必要はないと思うけど,基本的には図書館での名簿の閲覧を制限することについては条件付きで支持! 記事には「制限する根拠がないのに、各図書館が自主判断していることになる。」とあるけど,厄介な押し売り電話が多いことを考えれば,それほど間違った行為とは思わない。

今回は,必ずしもツッコミではないけど ...。

総務省によると、地方の公共図書館は、昨年4月に施行された個人情報保護法の対象には入っておらず、所蔵する図書や資料を提供、閲覧させることは各自治体の個人情報保護条例の適用除外となっている。県情報公開課によると、名簿も一般図書と同じように県条例の適用除外となる。

一般的に「個人情報保護法」と言った場合,「個人情報の保護に関する法律」のことを言う場合が多いけど,「行政機関の保有する保護に関する法律」,「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」をひっくるめて言う場合もあったりで,なおかつ“無冠法”と“行政機関法”,“独立行政法人法”とは用語なんかから違っていたりするから解りにくいったらありゃしない!

それはさておき,“無冠法”では2条3項で国の機関や地方公共団体などを対象から外しているし,“行政機関法”や“独立行政法人法”も,それぞれ2条で,国の行政機関,国の独立行政法人(この言い方は正確じゃないけど!)が対象であることを定めているので,記事の「地方の公共図書館は、昨年4月に施行された個人情報保護法の対象には入っておらず、」という部分は必ずしも間違っていないけど,ものすごく細かいことを言うと,「公共図書館」と言った場合,自治体が設置する以外の図書館が含まれる場合もあるんじゃないかな? だとすると,例外がある可能性もあるけど,自治体が設置する以外の図書館は“無冠法”の対象になるハズ! あと,「所蔵する図書や資料を提供、閲覧させることは各自治体の個人情報保護条例の適用除外となっている。」という部分は,全自治体で,そうなっているかは不明!

ただ,確かに「秋田県個人情報保護条例」の33条2項には「この章の規定は、図書館、博物館、美術館その他の県の施設において、県民の利用に供することを目的として収集し、保有している個人情報については、適用しない。」とある。でも,これを閲覧を制限する方向で解釈すれば,『制限している名簿類は「県民の利用に供することを目的として収集し、保有している」のではない。』とすれば,閲覧を制限する根拠は成立するんじゃないかな?

“行政機関法”の8条2項4号,“独立行政法人法”の9条2項4号にある「前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。」の定め,“無冠法”の50条1項3号にある「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的」の定めをもって,図書館で名簿を閲覧させることに(全く)問題がないかのように言われることがあるけど,図書館での閲覧が,全て「学術研究」てなわけでもないでしょうに!

どんなハードルを設けたって悪用するヤツは悪用するにしても,せめて,閲覧させる場合に学術研究目的であることの誓約書的なモノをとるぐらいはしてもいいんじゃないかなぁ? お金さえ出せば入手できるモノは別にしてもね!