続・著作権延長ですって。(その2)

著作権延長に対して中立の立場などと言っておきながら,例の「文藝著作権通信」にツッコミを入れていると,ドンドン,反対派みたいな内容になってしまったり ...。

Q、漫画やアニメが輸出されているといっても、文学や音楽を含めたコンテンツの輸出と輸入を比較すれば、日本はまだ輸入大国です。保護期間を短く設定しておいた方が、日本としては有利なのではないですか。

「損得だけでものを考えるのはまるで後進国」ということは,“相互利益”という名目で,よその国の著作権保護期間の延長を求めてくる国(20ページ)は後進国であって,文化国家ではないのですね?

それから,よその国が20年長く保護していることをもって,日本で「権利が剥奪」されているというのは論理のすり替えだと思いますよ! 死後50年の権利が与えられているのであって,20年分を剥奪しているわけではないと思いますけどね!!

Q、世界標準が70年だとしても、日本には日本の考え方があるので、追随する必要はないのではありませんか。

え〜ぇ,まず70年が必ずしも“世界標準”ではないと思いますし,EU加盟国を1国1国カウントするのも正当とは思えません

そもそも70年反対派は「ネット業者の利便性」のために反対しているのではないと思いますが,いかが? 重ねて言えば保護期間が50年であることが“権利の剥奪”や「制限」とするのも正当とは思えませんし,「文化の発展を阻害」することへの関連も疑問です。著作権の“チョ”の字もなかったルネサンス期をどのように説明されるのでしょう?

それから! 「文化の発展の阻害」へとつながるというのが事実だとすれば,70年なんてケチくさいことを言わず“未来永劫”を主張されればいいと思いますけどね!!

ついでに! “世界標準”ということをおっしゃるなら,少数派であるハズの公衆送信権の廃止なんかも同時に訴えられればどうですか?

Q、芸術は模倣によって生み出されるという考え方があります。保護期間が長すぎると、新たな芸術の創造を阻害するのではありませんか。

小林亜星氏と服部克久氏との裁判のことは日本文藝著作権センター様でもご承知だと思います。裁判の結果は結果として,“本当に著作権侵害だったのか”は,服部氏以外は判らないわけですが,同様の訴えを起こされるリスクが20年延びるのですよ!

で! 敗訴でもすれば,新しい方の作品は,事実上,封印されます。それでも「阻害するなどということはまったくありません」と,おっしゃいますか?

Q、保護期間の切れた外国の作品が、多様な翻訳でよめるようになり、多くの読者に歓迎されているという現実があります。この点についてはどのようにお考えですか。

「独占権の問題なので、保護期間の問題ではありません」とおっしゃいますが,前提として翻訳権が存在するから,独占的な契約が成立すると思うんですが? 保護期間内に新訳が出された例を挙げてらっしゃいますが,恐らく,新訳の企画の大部分は交渉にすらならないと想像しますが,いかが?

Q、著作権の保護期間延長の問題と、著作者人格権とは、どのように関わってくるのでしょうか。

海賊版などが出れば、出版社が対処してくれる」はいいとして,なぜ,それが「人格権を守ること」になるのか理解できません。仮に著作者の死後に人格権の侵害となるような行為があったとして,出版社は訴えをおこす立場にはないと思いますけど?

余計なお節介ですが,「人格権を守ること」になるとしても,全体に延長反対に対する反論的な内容になっているQ&Aに,このような設問・回答を載せるのは逆効果だと思いますよ!